収まる猫

2015年5月7日 日常
心配していたけど、
通夜でしっかりお別れが出来たので、
泣かずに運転出来た。

前と同じ段取りで、前と同じ式典が行われる。
お経のテープが流れるだけだが。

霊園は、いつも賑やかだ。
たまに来ても、誰かいる。
ゴールデンウィークなので、十人以上があちこちにいる。
墓参りをしているひと、納骨堂に参る人
合同墓に水をかける人、火葬を待つ人。

わざわざこんな事をする人たちばかりが集まる場所なので、
ここにいる動物たちもかわいがられた動物たちばかりだろう。
幸せな動物たちの霊があつまって駆け回っているイメージがある。

ひとまず、区切りが付き、精進上げだと昼ご飯を食べ、
ついでに、買い物をしまくって帰る。


疲れて、夢を見た。

家の中を猫が駆け回って、
たくさん積み上げた靴箱をどかーんと倒した。
部屋の中は、ぐちゃぐちゃだ。
あーあ、と片付けていると、
こどもがドアを開けて出て行く。
あっと言うまもなく、子供とともに、猫が外に出て行く。
追いかける。
そこは、エッフェル塔の展望台で、下を見下ろすと
猫は二本足で立ち、帽子なんかかぶっている。
まわりの猫に、「やぁ、ひさしぶり」などと挨拶をしながら
ねこの友人達と、楽しげに、地下鉄に乗って街へ繰り出していった。

ぼくは、取り残されたのだと、はっきりと気付いた。



なにが、いつ起こったのかも、わからない。


弟猫の背中を触ると、するりと逃げる。
猫は逃げるものだ。
死んだ猫は、もう二度ととするりと動かない。
うごけるおまえがいる。
よかった。
よかったけど、涙が出る。



猫の気配が小さくなる。


イメージとしては、映画「ハエ男の恐怖」。
ラストシーンでハエの身体に人間のあたまが付いた生物がヘルプミーと叫んで映画は終わる。
あんな感じで、猫の顔をした小さな生き物が、部屋の中を飛んでいる。
ハエ猫?
弟猫が目で追いかけているが、
もうすでに、おにいちゃんという目では見ていない。

本人も、実体がないことになれたのか、
瞬間移動のように、現実ではあり得ない速さで動いたりして、弟猫をからかうので、弟猫も追いかけられないし、そろそろめんどくさそうにしている。

飛んでいるハエ猫が
すーっと、ぼくのもとへ近づいてきた。
そのまま、胸のカラータイマーがあるあたりへすっと入って、収まった。
あいつだ。

もう大丈夫。

あいつは、ここに、ずっといる。
ここに、収まった。


バイバイ。







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