「ヒューゴの不思議な発明」
怒濤の仕事をこなすと、ふと、空白の心。
ネットでポチポチと押しているうちに、レイトショーの予約を取っていた。

ヒューゴ。

ヒューゴ、ヒューゴ。

お前はおれの元にやってきてくれはしないのか。



こんなのは、子供向けの映画じゃない。
人生をたたみはじめた老人を救うためにある映画だ。
若者が観ておもしろいはずがない。
この映画で涙でむせぶのは、酒におぼれる老人だけだ。

かと思ったら、私は勘違いをしているようだ。
そもそも、ジョルジュ・メリエスなんて名前を知っている人が、いまや皆無だということに私は気付いていなかった。
映画オタクが作った映画オタクな映画だと思っていたが、メリエスをまったく知らない若者にとって、メリエスの作品は新鮮なのだ。そんな計算が出来るスコセッシはやはりすごいのだろう。

3Dに期待される映像は、オープニングの「HUGO」というタイトルが出るまでに完璧にやり尽くしてくれる。ワンカットでとことん3Dらしい映像を堪能させてくれる。
それからあとは、もう、3Dがいかに普通であることか。
3Dで演技するベン・キングズレイのリアルなアップ。頬の筋肉の動き。これは2Dより伝わり方が数倍違う。
コメディアン出身の警察官が超ドアップでにらみつける非現実感。これも数倍だ。
そして、なにより、窓の外に映る「あこがれ」達。ガラスの向こうに見える、憧れ、それと一体になりたいのにガラスのあるもどかしさ。そして、やがて訪れる一体感。これは、3Dならではの距離感がなせる情感だ。

人生の悲哀。夢の喪失。

「目的を失った人間はゆっくりと壊れてゆく」

たまらないストーリーに脱帽。

なぜ、電車で見に行ったんだろう。車で行けば、どこかで一人ゆっくり泣けたのに。

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