ちょっと気分を変えたいとき、喫茶店に行きたくなる。
スタバのソファに座りたくなる。
近所にスタバがないので、新大阪まで出かける。

前に行ったのは、春先だっただろうか。

たぶん、知的障碍を持つんだろうな?という人をスタバが雇っていた。
アメリカの企業らしい。
店の中をかたづけたりしながら、突然大声で「いらっしゃいませ~」と叫んだり、ちょっと、怖かった。

うん、怖かったと思う。

わからないものは怖い。それはちゃんと認めよう。
怖いでいいじゃないか。他人の批判を怖れず、正直になろう。


アメリカ式のスタバがアメリカ式の社会貢献プログラムを実施している。
と思った。

それはそれで良いことだろうけど、正直かなんな。と思った。
私にも、そういう部分がある。と正直に認めよう。


ところがだ。

昨日、同じスタバに行くと、彼がレジに立っていった。
正直、「別のレジに行きたいな」と思った。
でも、彼が「いらっしゃいませ、こちらにどうぞ」と声をかけてきたら、
良い社会人のふりをしている自分としては、行かざるを得ない。
がまんするのは、数分のことだ。

抹茶フラペチーノを頼む、
サイズを聞かれる。
ちょっと迷うと、わざわざ、マニュアル通り、カップのサイズ写真を取り出して見せる。
とっても、一生懸命だ。
一番小さいのを頼むと
「抹茶フラペチーノ、ショートお願いします」という。
ドリンクを作るスタッフ3人ぐらいが、
「抹茶フラペチーノ、ショート」と妙にはっきり、くっきり、ゆっくり言う。
彼に聞き取れるように、考えて言葉を発している。

たまたま小銭がなかったので1万円札を出す。
「一万円入ります」と彼は言う。
レジから一枚ずつ、5千円札、千円札、千円札、千円札、千円札と取り出す。
リーダーらしい女性がにこやかに、ひとつひとつしっかりした彼の動作を
微笑みながら見つめる。
取り出して、重ねたときに、「はい」といって、女性は立ち去る。
彼は、私の前に、「おかえしのほうですが、5千円、6千円、7千円、8千円、9千円…」と、一枚ずつ、ていねいに、しっかり置いていく。

普通の人と、やっていることは同じだ。
マニュアル通りのオペレーションをキチッとやっている。
ただ、3倍の時間がかかっているだけだ。
しっかり、きっちりとした作業は、より信頼できるとも言える。
少なくとも、誰も文句は言えない。

小銭をもらい、もうすでに知っている「赤いランプの下でお待ちください」というゆっくりはっきりした言葉を最期まで聞いてから移動する。

ドリンクを作るスタッフは笑顔だ。
なんだか、前と雰囲気が違う。

カウンターが見える場所に席を取る。

スタッフ全員が、彼のことを気にかけている。
他人を気遣うことが当たり前なのだ。

そして、彼は、言われたことを一生懸命にこなしている。

みんなが他人を気遣うことが当たり前のお店は
とても、働きやすそうだった。
スタッフ全員が幸せそうだった。

彼は、みんなのアイドルだった。



効率だけを追い求める社会。
さっき食ったそば屋では、
出てくるのがちょっと遅いだけでイライラしていた自分。

ここには、効率が忘れた何かがある。

ありがとう、スタバ。

何かを忘れていたよ。おれ。


コメント

アミ
2011年7月12日11:53

何か、涙が出てきた・・・。(笑)
彼と、私、何が違うのだろう・・・。
何も違いは無い!
たまさんは正直!
たまさんの心の流れ、私も、同じように流れます、きっと。
そして、暖かな涙が出てきた・・・。

有難う!

たま
2011年7月14日4:57

あらら、アミさんにそんな事言われると恐縮します。

でも、この文章は私が書いたんじゃないんです。
彼に書かされたんです。きっと。

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