終わりました。
ネタバレで書きますので、終わってない方はご注意。

買わなくて良いソフトです。

前作「大神」はとっても面白かった傑作ソフトです。
PlayStation2で展開された世界を携帯ゲームのDSでどう表現するのか!
結論として、全然うまくいっていません。

物語は前作の9ヵ月後。
前作の主人公達はすでにどっか行っちゃった後ですが世界は全く同じ世界です。マップも同じ。

同じマップなのに、出発点が異なります。
新たに設けられた「薬師村」が出発点です。
この時点で、すでに明らかにおかしい。

マップという物は、ただの地図ではないはずです。
物語や主人公の成長に合わせて展開され、デザインされているはずです。
小さな村で操作性を覚え、より広いところへばばーんと広がり、ストーリーに従って緩急を付けながらさまざまなバリエーションで飽きさせない。そんな物語構成と一体となっているのがマップであるはずです。
なのに、同じマップなのにスタート地点が異なる。そのため、前回のスタート地点「神木村」が盲腸のように無駄なエリアとなっています。

主人公は、仔犬。見える人には見える隈取りがあるので前作の主人公と何らかの関係性があるのはわかりますが、なんの説明も無しに突然現れます。

そして背中に乗るのは、子供。
これも、一切背景のわからない子供です。

最後までやればわかるのかと思っていたら、最終的に、何も明らかにされず「次回に続く」って感じです。売りたいだけって感じで馬鹿馬鹿しい。


そして最大の問題点は、相棒の子供がころころと変わってゆく事です。
前回は背中に乗っていたのは虫だったので、姿も見えず、操作している最中見える物は犬のみ。ゲーム進行は虫の台詞。と言うことで、犬になりきってプレイしていれば没入できたのですが、今回は背中に子供を乗せるため、犬は単なる乗り物になってしまっています。
ストーリー部分になれば犬としての活躍もありますが、ゲーム中には、高性能犬を操作して進む子供に目が行きます。
もちろん、前作通りにすれば良いと言うわけではありませんし、子供が主人公になっても一向構わないのですが、この子供がころころと5人ぐらい変わってゆくというのは、感情移入しにくいこと甚だしいのです。
子供が変わることで、火を操れたり、水の中を活躍できたりとゲーム的バラエティーには富むのですが、似たような単純なマップをいろんな方法ですすめてゆくだけで、人が変われば、以前覚えた操作は使えず、成長感に乏しい結果しか生みません。

エンディングで最初に出会った相棒の男の子が再登場しますが、その頃には、その子への感情移入なんて、どっかに行ってしまっていますから、こっちの気分の盛り上がらないこと盛り上がらないこと。


また、ムービー部分のかったるさも困った物です。
子供向きを意識したのか台詞と台詞の間が長く、読んだ台詞をスキップすることもできません。スキップするとシーン全体がスキップされます。
まるで「ムービーなんて見ないでしょ」と言っているようです。
たしかに、ムービー内で訴えかけるほどのテーマは皆無で、ただ次のシーンへ移動させるための課題提出ムービーでしかありません。
そういう意味では「シーンスキップ」で良いのかもしれませんね。
はっきり、寝てしまう演出でした。

それと、前作を大事にしすぎて失敗しているところも目立ちます。
一点目は、マップをそのままにしたという事。
DSは容量が少ないのでしょうか、同じマップなのに行けない場所が多すぎます。
「あの島に行くのに苦労したよな、またあるのか。あれ?今回は行けないの?」こんな気持ちの連続はストレスが溜まります。
また、マップの連続性も保たれていません。
地続きでどんどんと歩いて行けた前作だったのに、たった9ヵ月の間に地震が起きたらしく、マップ単位でぶっつりと途切れていて、ひとつの大地という感じがありません。飛脚やワープでのみ移動でき、歩いて旅することはできないのです。
(そもそも「飛脚」で人間が運べるのがヘンじゃないですか。移動なら駕籠でしょ?飛脚便で箱詰めして配送するのかね?)
また、一つ一つのエリアが広すぎるためか、ひとつのエリアなのに、さらに細かいエリアに分かれ境界を越える度に読み込みが発生します。とにかく、快適に移動できません。
前作と同じマップと述べましたが、前作のうち、半分も使えていません。神木村、神州平原、花咲谷、アガタの森、両島原、西安京までです。
こんな事なら、DS用に全部新規マップにすれば良かったのではないでしょうか?
全く違うマップで始まって、神木村だけ途中で立ち寄るって事で良かったのではないでしょうか?
次回作は3DS用に立体で新規エリア作りたいから、今回は旅立ち編って事で、前作の使い回しで済ませましょうって事なんですかね?

二点目は、演出です。
ボス戦の戦闘終了時に、アマテラスが遠吠えするというカッコイイアクションがありましたが、あれを仔犬でやっても全然格好良くありません。
というか、画角まで前作と同じだからかっこよくないのです。
口先も丸く、手足も短い仔犬が精一杯手足を伸ばしても、ただの背伸びにしか見えません。そして前作の印象があるから「小型」としか感じません。
かわいらしい仔犬なのに、遠吠えでたくましく感じさせるのであれば、全く違う画作りが必要だったのではないでしょうか?
前作のような引きの画で日本画的なかっこよさを追求するのではなく、小さなかわいい仔犬なんだから、カメラを低い視点に移動し、大きく見せるような画を作り、かわいさに潜むたくましさを演出しないと、だめなんじゃないでしょうか?

そんな細かい部分も含め、どうにもこうにも、作品に愛情が感じられません。
「続編なんだから適当にやろうぜ」という意思がひしひしと伝わります。
前作では、「日本」をゲームに持ち込もうという意思がありました。「犬」にまつわるさまざまな日本伝承を集め、触れられることの少ないアイヌの伝説にまで網羅しています。主人公が犬である必然性が大きなストーリーを形成し、素晴らしい愛情にあふれていました。

エンディングを見るとどうやら仔犬も男の子も生まれたいきさつがあり、それは次回で明かされるんですよ、乞うご期待!という雰囲気でしたが、犬は乗り物でしかないし、男の子の事なんて最初にしか出てないし、感情移入していない人の過去なんて煽られても、次回作なんて全然やりたくなりませんでした。
(たぶん、「大神」のアマテラスとスサノオが時空と年齢を越えて飛んできたって事なんじゃないかな?)

ほんと、大作なのに時間を無駄にするだけの、「やらなくていいゲーム」だと思います。

所詮ゲームなんて手遊びじゃん。感情移入なんてめんどくさいじゃん。って方にはお奨めかもしれませんね。


あ、それと特典の筆型タッチペンは、良かったです。
大神伝気分が満喫できました。
タッチペン持ったままカーソル操作というへんてこな操作性なので軸が削れて、クリア時には軸にプリントしてあった「大神伝」って文字はすべて消えてましたけどね。
子供の小さな手であのサイズの筆とあの操作性はどうなのか?ってのは、不問としますけどね。

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