草枕

2004年1月31日
携帯電話で夏目漱石を読んでいる。

QVGA液晶なので結構読める。
でも、夏目漱石がくせものだ。

1.難しい漢字が多い。
JISにない字だらけで、その都度、[※「繍」の「糸へん」が「金へん」になる]などと書かれる。たまったもんじゃない。

2.ふりがながふれない。
いくらハイレゾ液晶といえど、ドットが目で見えるわけで、文庫本サイズの文字にルビなどふれるはずもない。
漱石は当て字も多くて、その都度、「華麗《はで》なところが・・」などとなる。
ボタン一発でルビを消して読むことも出来るのだが、ううむ。

3.注がない。
ま、これは、無料でダウンロードしてるんだから、漱石のテキストしか提供できないという版権的な問題があるんだろうけど、この狭い画面では、脚注なんて場所はない。
ハイパーリンク的に出すようなソフトであれば問題ないとも言える。

こうやって、漱石なんて自由な時代の小説を読んでいると、デジタル化で何を失ったかがよくわかる。

フォントがどの本も同じだ。
行間・文字間がどの本も同じだ。
紙の色も同じだ。
装丁がない。
挿絵もない。
判型がどれも同じだ。

ああ、なんて貧しいんだろう。

もちろん、「だからデジタルがダメだ」と言う結論ではない。
デジタルがこれからどれほど進化しなければならないのかがよくわかる。と言う意味だ。

結局、注釈が読みたくて、文庫本を買ってしまった。
とっても読みやすい。液晶と紙の白さを比べると、紙ってなんて明るいんだ。と感動する。
バックライトもないのに、この反射率はどうだ。

と感動していると、電車が駅に着いた。
本はしまわなければならない。
持ち歩かなくては行けない。
閉じたとたんに、不便きわまりない物体となる。
携帯電話なら、それ一発だけ持ち歩けばいいのに・・。

ほんと、未開な大地で暮らしていると思う。
本の機能を全部備えた携帯電話。出ろ!

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