またもや無断転載。そのうち訴えられるかも。
2002年12月8日 2002年12月7日発行
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JMM [Japan Mail Media] No.195 Saturday Edition
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http://jmm.cogen.co.jp/
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■ 『from 911/USAレポート』 第70回目
「雪と竜巻とイージスと」
■ 冷泉彰彦 :作家(米国ニュージャージー州在住)
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■ 『from 911/USAレポート』 第70回目
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「雪と竜巻とイージスと」
・・・・・(前半割愛)
「分かった」からと言って、危険はゼロになったわけではありません。ですが、社会全体としても、個人としても、とにかく「雪というのは、こういうもの」だと「分かって」いるのです。ですから、怒りも覚えなければ恐怖を抱くこともありません。淡々と事態に対処するだけです。政治家が、犬の散歩や雪景色の話をしても、誰も怒らないというのは、見事ですが、要するに「分かっている」ということに「なっている」ことの証拠に過ぎません。
竜巻は違います。まず、発生のメカニズムが複雑です。暖気と寒気の逆転現象による、突発的な上昇気流の発生というのは目に見えませんし、「なるほど」と納得するのは不可能です。第一、危険な状況というのはある程度把握ができても、一つ一つの発生は偶然が伴います。そして一旦発生したら高速で移動する竜巻を全て追跡して、通過コースを予測することは、まして危険なゾーンの人たち全員に避難を徹底することは不可能です。要するに人々は竜巻のことを「分かっていない」のです。
テロや戦争の恐怖は竜巻に似ています。相手のことを「分かっていない」ことが前提になるからです。恐怖や怒りの感情は全てそこから出てきます。恐怖が増大すると、怒りを伴って来ます。時には「相手のことなど知りたくもない」という自暴自棄に陥ります。その結果として、何が問題なのか、どうすれば解決と言えるのか、要するにどうすれば良いのか、という問いも怪しくなってきます。そうして、問題は単純な敵と味方の論理にすり替えられます。敵が勢いづけば恐怖が増し、味方が増えれば安心します。そうして紛争の深刻度は加速度的に高まってゆきます。
イラクの脅威論も同じです。国連の査察団が200人体制の専門家チームを派遣して、それこそ相手のことを「分かろう」としている現時点でも、アメリカのメディアは懐疑論ばかりを流しています。まるで正確な場所を特定できない竜巻警報と一緒です。
その一方で、イラクの現体制すなわちバース党政権が、王権に取って代わった経緯や、イランとの紛争の過程ではアメリカとの蜜月時代があったことは、今やほとんどのアメリカ人は知らないでしょう。
テロの問題もそうです。インドネシアにしてもフィリピンにしても、問題は経済政策にあると思います。大土地所有が生む貧富の格差が問題で、その中での極端な所得格差が憎悪の口実になるのです。そして、富裕層の政策を憎む代わりに、富裕層が取引
の相手としている米国が憎悪の対象になるのでしょう。この構図を「分かって」いれば、「テロ対策」なるものが武力による威嚇ではダメだということは容易に理解できるはずです。
今回のイージス艦派遣問題で、例のアーミテージ副長官が「米国と日本は地域の平和と安定に責任を担っている。とりわけバリ島での惨事の後は余計だ」と言って「感謝」したというのですが、イラクもタリバンもアルカイダも一緒くたにして、とにかく「味方」をしてくれれば「悪いようにはしない」などという「分かっていない」話にどうして乗らねばならないのでしょう。
このアーミテージ発言と前後して、ジャワ島での日本車ディーラーが襲われたなどという話も流れていますが、少なくとも日本の政府や経済界は、アメリカの100倍はインドネシアのことは分かっているはずです。現在のインドネシアの問題点に関わっ
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(字数制限のため、後半割愛)
全文は、下記参照。
http://jmm.cogen.co.jp/jmmarchive/r012071.html
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冷泉彰彦:
著書に
『9・11(セプテンバー・イレブンス)―あの日からアメリカ人の心はどう変わったか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093860920/jmm04-22
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JMM既刊号はこちらから http://jmm.cogen.co.jp/
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独自配信: 76,626部
まぐまぐ: 20,068部
melma! : 16,953部
発行部数:113,647部(12月1日現在)
【WEB】 http://jmm.cogen.co.jp/
【MAIL】 jmm-info@cogen.co.jp
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【発行】 有限会社 向現(FAX 03-3247-4208)
【編集】 村上龍
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原則として、JMMオフィスでは解除手続きは代行いたしません。
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「雪と竜巻とイージスと」
■ 冷泉彰彦 :作家(米国ニュージャージー州在住)
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「雪と竜巻とイージスと」
・・・・・(前半割愛)
「分かった」からと言って、危険はゼロになったわけではありません。ですが、社会全体としても、個人としても、とにかく「雪というのは、こういうもの」だと「分かって」いるのです。ですから、怒りも覚えなければ恐怖を抱くこともありません。淡々と事態に対処するだけです。政治家が、犬の散歩や雪景色の話をしても、誰も怒らないというのは、見事ですが、要するに「分かっている」ということに「なっている」ことの証拠に過ぎません。
竜巻は違います。まず、発生のメカニズムが複雑です。暖気と寒気の逆転現象による、突発的な上昇気流の発生というのは目に見えませんし、「なるほど」と納得するのは不可能です。第一、危険な状況というのはある程度把握ができても、一つ一つの発生は偶然が伴います。そして一旦発生したら高速で移動する竜巻を全て追跡して、通過コースを予測することは、まして危険なゾーンの人たち全員に避難を徹底することは不可能です。要するに人々は竜巻のことを「分かっていない」のです。
テロや戦争の恐怖は竜巻に似ています。相手のことを「分かっていない」ことが前提になるからです。恐怖や怒りの感情は全てそこから出てきます。恐怖が増大すると、怒りを伴って来ます。時には「相手のことなど知りたくもない」という自暴自棄に陥ります。その結果として、何が問題なのか、どうすれば解決と言えるのか、要するにどうすれば良いのか、という問いも怪しくなってきます。そうして、問題は単純な敵と味方の論理にすり替えられます。敵が勢いづけば恐怖が増し、味方が増えれば安心します。そうして紛争の深刻度は加速度的に高まってゆきます。
イラクの脅威論も同じです。国連の査察団が200人体制の専門家チームを派遣して、それこそ相手のことを「分かろう」としている現時点でも、アメリカのメディアは懐疑論ばかりを流しています。まるで正確な場所を特定できない竜巻警報と一緒です。
その一方で、イラクの現体制すなわちバース党政権が、王権に取って代わった経緯や、イランとの紛争の過程ではアメリカとの蜜月時代があったことは、今やほとんどのアメリカ人は知らないでしょう。
テロの問題もそうです。インドネシアにしてもフィリピンにしても、問題は経済政策にあると思います。大土地所有が生む貧富の格差が問題で、その中での極端な所得格差が憎悪の口実になるのです。そして、富裕層の政策を憎む代わりに、富裕層が取引
の相手としている米国が憎悪の対象になるのでしょう。この構図を「分かって」いれば、「テロ対策」なるものが武力による威嚇ではダメだということは容易に理解できるはずです。
今回のイージス艦派遣問題で、例のアーミテージ副長官が「米国と日本は地域の平和と安定に責任を担っている。とりわけバリ島での惨事の後は余計だ」と言って「感謝」したというのですが、イラクもタリバンもアルカイダも一緒くたにして、とにかく「味方」をしてくれれば「悪いようにはしない」などという「分かっていない」話にどうして乗らねばならないのでしょう。
このアーミテージ発言と前後して、ジャワ島での日本車ディーラーが襲われたなどという話も流れていますが、少なくとも日本の政府や経済界は、アメリカの100倍はインドネシアのことは分かっているはずです。現在のインドネシアの問題点に関わっ
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(字数制限のため、後半割愛)
全文は、下記参照。
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冷泉彰彦:
著書に
『9・11(セプテンバー・イレブンス)―あの日からアメリカ人の心はどう変わったか』
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【編集】 村上龍
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