プール

奥さんが聖子ちゃんなので
じゅんとプールズへいく。

ゴーグルをして、スカイリバーでひとしきり遊ぶ。
けっこう疲れる。

うちのデカイ浮き輪には、浮き輪の中にもう一つまくらのようなビニール袋がついている。
どうやって使うんだろう？？？
きっとこれはまくらだろう、
これをまくらにするには、浮き輪本体の空気を抜くんだろう。
浮き輪に乗っかる。
頭をまくらに乗せると、本体の空気穴がちょうど左手のあたりに来る。
空気を抜いてゆく。
身体が水に浮いているのか、空気で浮かんでいるのかよく分からない状態になる。

じゅんは、勝手に遊んでいる。

ぷかぷかと浮いている。
浮かんでいるだけで、どこにも行かない自分が居る。
僕の今はこのプールズかもしれない。
周りを何となく囲まれて、日も差さないけど暗くもない。
雨の心配もない。風も吹かない。
頭がだんだんぼぉーっとしてくる。

鬱なんだろうか？
はらたいらが更年期で鬱になってたなぁ。
40前で更年期もないだろう。

なんだか人生がさびしい。

じゅんが来た。
こんな子供をちゃんと育ててるじゃないか。
じゅうぶんだろ？

じゅんがどっかへ引っぱってゆく。
子供が引っぱってくれてるのに、
反応できない。

「海へいくで！」
じゅんが引っぱりながら言う。
そういえば、砂浜を模した海岸風のプールだったなぁ。
これが、海なものか。

どんどん、薄暗い方へ、引っぱって行かれる。
こんなとこに来た事がなかったなぁ。
「海やで」
え？

僕の目に熱帯魚が飛び込んできた。
「潜るとええねんで」
じゃぶんと飛び込むと、珊瑚が目の前にある。
頭の中を沖縄が駆けめぐる。

そこは、プールとプールをつなぐ水の通路。
その両脇に水槽がしつらえてある。
水槽の中に熱帯魚という趣向だ。

熱帯魚と僕のあいだにガラスがある。
ガラスの向こうに沖縄がある。
もう一度・・もう一度・・・

「じゅん！今から沖縄行こか！」