妄想日記

2001年4月3日
うちの近所に四つ角がある。
車も少ないのに信号がある。
専門学校生が多いので、念のためにつけてあるのだろう。
日曜日なので、全くクルマは走っていない。
バイクで出かける。赤信号だ。
一旦止まる、最徐行でにゅるにゅる前にでる。
アメリカなら右折(日本なら左折)はいつでも青だ。
にゅるにゅると進みながら、交差点内に進入。人影もない。にゅるっと曲がる。

曲がったところにお巡りさんがいた。

「こら、待ちなさい!」
・・・待ってしまった。
「赤信号とちゃうんか!」
「はい」
「あかんがな」
「あかんっすか?」
「???あかんやろが、赤は止まれってならったやろ!」
「でも、誰も通ってないっすよ。」
「信号は赤やろ!」

「なら、聞きますが、あなたは誰ですか?」
「警察官にきまっとるやろ」
「交差点での交通整理は警察官の仕事ですよね。」
「おう、そうや。」
「この交差点の信号が壊れていて、あなたが、今、交通整理をしていたら、今の場合、私を止めていましたか?」
「それは、話がちゃうやろ」

「信号機と警察官とどっちがえらいですか?」
「なにをゆーとるねん」
「もし警察官が無数にいてたら、交通整理を一日中していても良いわけです。」
「警察は、そんなヒマとちゃうんや」
「そうです。ヒマじゃないから信号を置いてあるんです。信号は、警察官の替わりに便宜的に置いてあるただの、方便です。」
「あのな…」

「信号は、警察官より劣っている!・・これは、正しいですよね。」
「警察官をなめるなよ!」
「そうです、まさしく、信号は人間を舐めくさっています。警察官の地位をおとしめるほどひどい作業しかしていません。人間の大切な時間を機械ごときが奪い去るなんてけしからん事です。
 この信号がくだらない作業しかしていないから、警察官の仕事もくだらないと思われてしまうのです!」
「おまえ、何が言いたいんや?」
「信号がいつも正しいと言う根拠なんてどこにもないわけです。ただ単にのんべんだらりと時間ごとに青を出したり赤を出したりしてるだけ。パチンコ台より低機能です。人間なら当然するべき対応をすることが出来ない。本当に無能な奴らです。
 ところが、人間はちがう。キチンと状況を判断して、最適な方向を選び取ることが出来る。機械のように決められた作業のみを繰り返すのではなく、自分自身の意志で社会を未来を選び取ることが出来る。」
「そやから、どうやっちゅーねん」
「あなたは、機械ですか?人間ですか?」
「もうええ、続きは署で聞くわ、こっちこい。」

「機械なんですね。」
「は?」
「あなたは機械なんですね。
 法の執行人として警察官が居る。
 法律が正しいときは法律を遵守し、法律を犯すものを逮捕すればよい。
 しかし、法律があの信号機のような場合は、あなた、どうするんですか?」
「また、無茶苦茶なことを言い出したな」
「何のために人間が警察官をしているんですか?
 機械で代用できるんなら、すべてを代用すればいいのですか?信号機に出来るようなことしか警察官はしていないのですか?
 近い将来、信号機も進化するでしょう。画像認識装置やセンサー技術はどんどん安価になってきています。500m先の交通状態まで認識し、交差する踏切への電車の接近情報も把握した上でコンピューターが今一番最適な信号を表示するようになるでしょう。
 そのシステムは、人間が交通整理するよりも、よっぽどすばらしい交通整理をしてくれるでしょう。
 そして、そのときなら、今の場合は信号は青です!」
「それは、屁理屈やろ!」
「そうです。これは、屁理屈です。
 しかし、あなたのしていることは、機械の持つ心よりも低レベルな判断しかしていない。ということです。」
「おまえなぁ・・・」
「近い将来、このような機械・システム・ロボットなどが、人間の代わりを勤めてくれるでしょう。
 たくさんの人間が失業すると言われています。
 でも、本当にそうですか?
 人間にすることが無くなるんですか?
 そのとき、人間のするべきことは。人間しかできないことは、なんなんですか?
 それは、システムのほころびを補完することではないんですか?」
「とかなんとか言って、結局おまえは、見逃してもらおうとうだうだ言ってるだけやろが!」

「では、なぜ、あなたは、私が交差点に進入してきたときにクルマの陰に隠れたんですか!」
 みるみる警察官の顔が赤くなった。
「こっち来い!」
 私は警察に連れて行かれた。

・・・そこで妄想はとぎれた。


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